自動車保険

楽天損保の自動車保険「ASAP」、6年の長期契約にメリットはある?

楽天は2018年4月に朝日火災海上保険を完全子会社化しました。そして、朝日火災は「楽天損害保険」と改名して新たなスタートを切っています。

楽天損害保険の自動車保険は6年間の長期契約ができるのが特徴です。長期契約が可能な点をアピールしている保険会社は他にないので検討の余地があるでしょう。

そこでこの記事では楽天損保のメリットやデメリットを検証し、加入する価値があるかどうかを検証します。

J.D.パワー社の評価でいきなり1位に?

自動車保険の口コミやランキングはいろいろありますが、筆者は株式会社J.D.パワー社によるランキングが一番参考になると考えています。

J.D.パワー社では「契約内容/契約手続き」「価格」「保険証券」「顧客対応」「事故対応/保険金支払い」という5つのポイントを基準としてランキングしており、その結果を毎年公表しています。

それによると、直近3年間のランキングは以下のとおりです(代理店系自動車保険部門、契約者満足度調査)。

  • 2018年:第1位
  • 2017年:第9位
  • 2016年:圏外

楽天損保は2018年にできた保険会社のため、2016年と2017年は朝日火災の評価を掲載しています。「圏外」というのはサンプル数不足で評価できなかったことを表しています。

この結果を見ると、楽天損保は新しくなった途端に評価が一気に向上したことになります。これをどう見るべきでしょうか。買収をきっかけに参加した新しいメンバーがサービスを徹底的に見直し、その結果が反映されたのでしょうか。

しかし、朝日火災が楽天損保に変わったのは2018年4月です。ランキングが公表されたのが7月なので、調査が行われた時点で楽天損保になってからの契約者は少ないはずです。その点を考えると、この評価は少し不自然ではないかという印象です。

真実はわかりませんので、2019年以降のランキングを注視するしかないでしょう。

公式サイト:個人のお客様|楽天損害保険

楽天損害保険の自動車保険「PAP」のレビュー

楽天損保の自動車保険は「ASAP(アサップ)」と「PAP」の2種類です。ASAPは6年契約が可能な商品で、PAPは一般的な自動車保険です。まずは「PAP」について解説します。

対人賠償責任保険・対物賠償責任保険

「PAP」の対人賠償責任保険と対物賠償責任保険については特筆すべき点はありません。

対物超過修理費用補償特約は自動セットされる保険会社も多いですが、楽天損保ではオプションです。そのため契約するかどうかを加入者が自分の意思で決めることができますが、迷ったら付加しても良いでしょう。

なお以下の3つは自動セットとなります。

  • 「他車運転危険補償特約」
  • 「臨時代替自動車補償特約」
  • 「被害者救済費用等補償特約」

「他車運転危険補償特約」と「臨時代替自動車補償特約」は、他人の車を運転しているときに事故を起こした場合も自分の車と同じように補償を受けられる特約です。両者は原因が違うだけです。

これらは他人の車を運転する機会がなければ不要なので、自動セットなのは残念なところです。

また「被害者救済費用等補償特約」は契約車両の欠陥、自動走行システムのハッキングによる事故などで契約者に賠償責任がない場合に、被害者に対して保険金を支払う特約です。

これは契約者のためにある補償ではなく被害者を救済するための補償であり、他社にも同様の補償が用意されています。

被害者救済費用等補償特約は自賠責保険と同様、車を所有する者の義務と考えるのが妥当でしょう。

人身傷害保険

人身傷害保険は契約車両に搭乗中の人(運転者と同乗者)が死傷したことで生じる治療費や慰謝料、休業損害などをカバーするための補償です。これはごく一般的な内容です。

これに「人身傷害車外危険補償特約」をセットすると、契約車両以外の車を運転しているときの事故や、車を運転していないとき(歩行中など)も同様に補償されます。ただしこれらは不要と考える人も多いでしょうから、その場合はセットしないことをおすすめします。

なお楽天損保の自動車保険でも他の保険会社と同様に搭乗者傷害保険が特約で用意されています。

搭乗者傷害保険はそれ1本となっている保険会社が多いですが、楽天損保では以下の4つの特約から構成されていてやや複雑です。

  • 搭乗者傷害特約(部位・症状別払い)
  • 搭乗者傷害特約(医療保険金日数払)
  • 搭乗者傷害医療保険金倍額払特約
  • 搭乗者傷害特約(死亡・後遺障害)

搭乗者傷害保険は通常、部位・症状に応じて支払う金額が決められています。人身傷害保険と比べて保険金の支払いが早いというのがメリットなのですが、これを入通院の日数に応じて支払う方式に変更することができます。

なお倍額払特約を付加すれば、部位・症状別払の保険金を2倍にすることができます。

搭乗者傷害保険は人身傷害保険と補償が重複します。違いは金額と支払いのタイミングだけなので、どちらかに絞るなら人身傷害保険がおすすめです。

車両保険

楽天損保の自動車保険における車両保険は「一般車両保険」と「車対車+A」の2種類です。その内容は以下のとおりです。

補償内容 一般 車対車+A
他人の自動車との接触・衝突
火災・爆発・騒擾・台風・洪水・高潮
窓ガラスの破損・落書き・いたずら
盗難
単独事故・自動車以外の他物との事故 ×
当て逃げ ×

言うまでもなく、補償範囲の広い一般車両保険のほうが保険料は高くなります。そのため補償される内容をよく検討して決めましょう。

また、車両保険を契約する場合は以下の特約をセットできます。

車両地震特約

一般の車両保険は地震・噴火またはそれらによる津波を原因とする被害が補償されませんが、この特約を付加すると補償の対象になります。これらの被害に備えたいのであれば付加しましょう。

車両全損時臨時費用補償特約

契約車両が全損となったとき、車両保険金額の10%に相当する金額が支払われる特約です。ただし20万円が上限です。

「全損」とは修理不能となるか、修理費が時価を上回る場合のことをいいます。

車両保険無過失事故特約

相手車両のある事故で契約者に過失がなく一定の条件を満たしている場合に、車両保険を使って自分の車を修理してもノンフリート等級に影響しないようにできる特約です。

これは相手方が任意保険に加入していないなどの理由で支払い能力がなく、やむを得ず自身の車両保険を利用するような場合に備える特約です。無理に契約するような性質の補償ではないでしょう。

車両新車取得費用補償特約

初度登録から61カ月以内に満期日のある場合にセットできる特約で、保険金額の50%以上に相当する損害をこうむった場合に新たな車の購入費用(または修理費)を支払ってくれる特約です。

これはいわゆる「新車特約」です。運転に自信がない人が新車を購入した場合は検討の余地があるでしょう。

その他の特約

以上のほか、検討に値する特約について簡単に解説します。

個人賠償責任補償特約

個人賠償責任補償特約は、日常生活において他人にケガをさせたり他人のものを壊したりしたときの賠償金を補償してくれる特約で、車の運転とは関係ないものです。

この特約は1本で家族全員がカバーされますし、自転車保険の代わりにもなるので契約すべき特約なのですが、火災保険や傷害保険、クレジットカードなどについていることもよくあります。

その場合は補償が重複して保険料がムダになるので、あらかじめ確認してから契約しましょう。

関連記事:個人賠償責任保険はコスパ最強。必ず加入しよう!

自動車事故弁護士費用等補償特約

相手方に100%の過失がある事故の場合、保険会社は示談交渉をすることができません。

その場合に生じる弁護士等への依頼にかかる費用を、最高で補償を受ける人1人につき300万円まで補償してくれる特約です。この特約は付加するのがおすすめです。

なお契約車両ではない車を運転しているときや、歩行中などで被害者になった場合にも利用できます。

弁護士費用等補償特約については以下の記事も参考にしてください。

関連記事:意外と知らない弁護士特約のメリットとデメリット

ロードサービスは物足りない

ロードサービスについては「PAP」の場合、最低限のサービスしかありません。

遠方で事故または故障が原因で自走できなくなったときの補償(レッカー搬送、宿泊費用等)はASAPでないと提供されません。

ただしこれらは不要という人もいるでしょうから、そういう人にとっては問題ないでしょう。なお落輪が補償の対象となっているのは他社よりも良い点です。

提供されるサービスを一覧にすると以下のとおりです。

バッテリー上がり
パンク時のスペアタイヤ交換
ガス欠
キー閉じ込み
落輪
ロードサービス拠点数 8500カ所(2018年7月現在)
レッカー搬送 ×
宿泊費用 ×
帰宅・移動費用 ×
修理済み車両の引き取り費用 ×

楽天損害保険の事故対応は今ひとつ

楽天損保の事故対応体制については特筆すべき点が一切ありません。

パンフレットを見ても「24時間365日対応」「速やかな初期対応」「事故の相手方と電話で話す」程度のことしか書かれていないからです(これは当たり前です)。

事故対応は自動車保険を選ぶうえで大事なポイントです。他社との差別化をはかり、独自のサービスを提供しているならホームページやパンフレットで強調するのが自然でしょう。他社と比較すれば明らかです。

そのため、楽天損保の事故対応はまったく評価できません。

「ASAP」で長期契約をすると保険料が安いの?

ASAPの特徴は最長で6年間の長期契約が可能な点です。ここではASAPで長期契約をすると保険料が安くなるのかどうか検証します。

長期契約(6年間)のメリット

長期契約をした場合のメリットは以下のとおりです。

  • 契約から6年間は無事故であるという前提で保険料が決まる
  • 契約期間中に事故を起こした場合、1回までなら等級が変わらず事故あり係数も適用されない
  • 契約から4年目以降に事故を起こした場合、次の契約で事故あり係数が適用されない

ホームページやパンフレットの説明がきわめてわかりにくいのですが、保険料が変わらないのはあくまで事故が1回までです。

通常は1回の事故で翌年は3等級下がり、3年間は事故あり係数が適用されます。しかしASAPを契約している場合は次の契約も事故なし係数で保険料が計算され、保険料が少し安くなります。

ただし次の契約で事故あり係数が適用されないのはあくまで楽天損保で契約を続けた場合の話ですから、他の保険会社に乗り換えるときは無関係になります。

6年契約で事故を起こすと保険料はどう変わる?

ASAPで6年契約をして交通事故を起こした場合にどれだけ保険料が変わるのかをみるために、等級ごとの保険料を事故あり係数・事故なし係数のそれぞれでどうなるか比べてみました。基準となる保険料を10万円として計算しています(例:6等級・事故なし=100,000円×(1-19%)=81,000円)。

割増引率
(事故あり)
割増引率
(事故なし)
保険料
(事故あり)
保険料
(事故なし)
1等級 64% 64% 164,000 164,000
2等級 28% 28% 128,000 128,000
3等級 12% 12% 112,000 112,000
4等級 -2% -2% 98,000 98,000
5等級 -13% -13% 87,000 87,000
6等級 -19% -19% 81,000 81,000
7等級 -20% -30% 80,000 70,000
8等級 -21% -40% 79,000 60,000
9等級 -22% -43% 78,000 57,000
10等級 -23% -45% 77,000 55,000
11等級 -25% -47% 75,000 53,000
12等級 -27% -48% 73,000 52,000
13等級 -29% -49% 71,000 51,000
14等級 -31% -50% 69,000 50,000
15等級 -33% -51% 67,000 49,000
16等級 -36% -52% 64,000 48,000
17等級 -38% -53% 62,000 47,000
18等級 -40% -54% 60,000 46,000
19等級 -42% -55% 58,000 45,000
20等級 -44% -63% 56,000 37,000

仮に13等級の人が事故を起こして等級が3つ下がった場合、翌年は10等級の事故あり係数となります。そのため、事故がなければ69,000円だったはずの保険料が55,000円になります。

その結果、3年間でおよそ5万円程度、保険料が高くなります。事故あり係数の適用が終わっても、等級が3つ低いのでその分もあります。そのため、長期契約は運転に自信のない人なら検討に値するかもしれません。

ただし6年間の長期契約は年齢など一定の条件をクリアしていないと契約できません。

詳しくはパンフレットで確認してください。ただしわかりにくいので、できれば代理店で話を聞くのがおすすめです。

公式サイト:ASAPパンフレット

楽天損害保険の自動車保険の保険料は他社と比較してどう?

ホームページのシミュレーションを利用して、楽天損保(ASAP)とその他の保険会社の保険料を比較してみました。楽天は1年契約の数字です。

なお試算条件はなるべくそろえていますが、厳密に同じにはなりませんので参考程度にご覧ください。

試算条件は以下のとおりです。

  • 補償の対象:記名被保険者とその配偶者
  • 車種:トヨタ アクア NHP10(新車)※過去に乗っていた車はなし
  • 免許証の色:ブルー
  • 使用目的:日常・レジャー
  • 対人賠償・対物賠償:無制限
  • 人身傷害保険:3000万円(車内のみ補償)
  • 対物全損時差額修理費用補償:あり
  • 予想走行距離:5000km以下
  • 等級:6等級
  • 証券不発行割引あり
  • 車両保険:なし
  • 居住地域:東京都

保険料は次のようになりました。

楽天
(1年契約)
三井住友 SBI損保 東京海上 ソニー損保
21歳 75,830 112,480 73,420 79,610 90,670
25歳 75,830 112,480 72,720 79,610 90,670
30歳 51,330 79,710 39,080 62,600 48,060
35歳 47,420 72,320 39,080 56,650 48,060
40歳 46,850 73,100 39,490 54,440 47,880
45歳 46,850 73,100 39,490 54,440 47,880
50歳 46,820 78,340 38,590 53,950 47,930
55歳 46,820 78,340 38,590 53,950 48,010
60歳 49,990 80,870 43,440 56,680 49,250

この結果を見ると、代理店型なのにダイレクト型損保の保険料と変わらない水準です。事故を起こさない自信があってなるべく保険料が安いほうが良いのであれば、楽天損保は候補の1つになるでしょう。

試算結果は条件次第で大きく変わります。そのため必ずご自身の条件で試算して確認してください。

1年契約と6年契約の保険料はどう違う?

契約者の年齢が35歳、契約時点における等級が15等級で他の条件が同一とし、1年契約を6年間更新した場合と6年契約をした場合の保険料は以下のようになりました。

年齢 等級 1年更新 6年契約
35歳 15等級 1年目 33,600 33,600
36歳 16等級 2年目 32,940 32,240
37歳 17等級 3年目 32,280 31,550
38歳 18等級 4年目 31,620 33,820
39歳 19等級 5年目 30,970 33,080
40歳 20等級 6年目 25,400 28,440
合計 186,810 192,730

これは無事故であることが前提の試算ですが、なぜか保険料の総額は1年契約のほうが安くなっています。長期契約をするほうが得なのはあくまで事故が起きたときだけのようです。

長期の契約でしばるなら、無事故でも6年契約のほうが安くないとおかしくないでしょうか。

楽天損保の保険料の仕組みはとてもわかりにくいので、加入を検討しているなら代理店で話を聞くことをおすすめします。

まとめ

楽天損保の補償内容は全体的に今ひとつなうえ、長期契約をしても事故を起こした場合でないと有利にならないようです。

楽天損保の自動車保険がJ.D.パワーの調査で1位になったことは疑問を感じるところですが、これはもう少し様子を見ないと結論は出ないので何とも言えません。

ただし保険料は他社と比べて安いほうに入るので事故対応を重視せず、保険料が安いところを選びたいなら候補にしても良いでしょう。

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